はじめに
こんにちは、つるかめ相続税理士事務所の平岡です。
「実家の相続税、そろそろ心配だけど何から始めれば…」と悩んでいませんか?
相続税対策で最も重要なのは、親が「心身ともに元気なうち」に動くことです。
認知症などで判断能力が低下すると、法的な節税対策は一切できなくなってしまいます。
本記事では、2026年最新の税制に対応した、今すぐ親子で取り組むべき5つの節税対策を厳選し、失敗しない生前贈与の注意点と節税対策の進め方を分かりやすく解説します。
【この記事のポイント】
■ 生前対策は親が「元気なうち」に始めるべき(認知症対策)
■ 生前贈与は「時間」を味方につける
■ 節税特例と生命保険の非課税枠を活用する
■ 税務調査で否認される「名義預金」や親族トラブルを回避する
■ 相続税に強い税理士へ早期相談する
なぜ「親が元気なうち」に対策を始めるべきなのか?
認知症発症後に待ち受ける「凍結」のリスク
相続税対策を進める上で、最大の壁となるのが「親の認知症」です。
法律上、判断能力が不十分であるとみなされると、生前贈与や不動産の売却、遺言書の作成といった契約行為が一切できなくなります。
家族信託などの柔軟な資産管理も元気なうちでなければ契約を結べません。
銀行口座も凍結され、節税どころか葬儀費用の捻出にも困るケースがあるため、「まだ早い」と思える段階での着手が不可欠です。
2026年税制対応!生前贈与は「時間」が最大の武器
近年の税制改正により、亡くなる前に行われた生前贈与を相続財産に持ち戻して課税する期間が、従来の3年から7年へと段階的に延長されています。
つまり、亡くなる直前の駆け込み贈与は節税効果が薄れてしまうため、これまで以上に「いかに早くからスタートできるか」が勝負の分かれ目となります。
親が健康で長生きしてくれる時期から、時間をかけてコツコツと財産を移転していくことが最大の節税となります。
親が元気なうちにやるべき!王道の相続税対策
暦年贈与の活用と特例
まず検討すべきは、年110万円まで非課税の「暦年贈与」です。
また、相続時精算課税制度を併用する選択肢もあります。
さらに、まとまった資金を移すなら、「住宅取得資金の特例」や「結婚・子育て資金の一括贈与」などがあります。
住宅取得資金贈与の特例は、父母や祖父母など直系尊属からマイホーム取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度でエネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅なら最大500万円が非課税となります。
また、結婚・子育て資金の贈与の特例とは、父母や祖父母など直系尊属から結婚・子育てのための資金の贈与を受けた場合に最大1,000万円(内、結婚資金は300万円)まで非課税になります。これらは親の健康状態に合わせて一気に財産を減らせる有効な手段です。
生命保険の非課税枠と実家の土地の特例
手元の現金を「生命保険」に換えるだけで、「500万円 × 法定相続人の数」の金額が非課税になります。
※生命保険金の非課税については別記事「生命保険で相続税を抑える仕組みと非課税枠の活用法をプロが解説」で説明しています。
親を被保険者、子を受取人にして加入するだけで確実に納税負担を減らせます。
また、実家の土地を引き継ぐ予定なら「小規模宅地等の特例」の要件を親の生前に確認しておきましょう。同居親族が引き継ぐなどの条件を満たせば、土地の評価額を最大80%減額できるため、強力な節税効果を生み出します。
後で揉めないための生前贈与「3つの絶対的な注意点」
税務署に否認される「名義預金」を回避する
「(親が管理する)子供名義の口座にお金を振り込んだから大丈夫」というのは、税務調査で最も指摘される「名義預金」の典型例です。
通帳や印鑑を親が管理していたり、子が贈与の事実を知らなかったりする場合、その子供名義口座の預金は実質的に親の財産とみなされて相続税が課されます。
生前贈与を成立させるには、お互いの合意を示す「贈与契約書」をその都度作成し、子が普段使っている口座へ振り込み、子が自分で管理することが絶対条件です。
兄弟姉妹のトラブルを防ぐ「遺留分」への配慮
良かれと思った生前贈与が、将来の家族の争い(争族)の原因になることがあります。
特定の子供だけに多額の贈与を行うと、他の兄弟姉妹から「不公平だ」と不満が噴出し、法律上最低限もらえる財産の権利である「遺留分」を侵害してしまうリスクがあります。
生前贈与を行う際は、最終的な遺産分割のバランスも考慮し、家族会議を開くなどして、できるだけ親の口から他の家族(相続人)へ特定の家族に贈与する意図を説明してもらうのが理想的です。
親子で揉めずに進める!おすすめの対策ステップ
切り出し方が重要!親に不快感を与えない話し方
子供から「相続税の対策をしよう」と切り出すのは、勇気がいるものです。
伝え方を間違えると、親に「自分が早く死ねということか」と誤解され、感情的なしこりを残してしまいます。
おすすめは、「法改正で一般家庭も税金がかかる時代になったらしい」「友達の家が手続きで苦労したみたい」といった世間話を枕詞にすることです。
親を主役に据え、「家族みんなの負担を減らすため」というスタンスで寄り添いましょう。
「財産目録」の作成と大まかな相続税の試算
親の同意が得られたら、まずは現状の資産をリストアップする「財産目録」を作ります。預貯金の額、不動産の場所、加入している生命保険などを1つずつ書き出していきます。これらが法律で決まっている「相続税の基礎控除額」を超えるかどうかで、必要な対策の規模が変わるからです。
※基礎控除については別記事「【相続税】基礎控除の仕組みをサクッと解説」を参照してください。
完璧にその財産額を把握でなくても構いません。
親の財産総額がどのくらいで、どの金融機関に預金(又は株式等)があるかなどを把握することは、将来の手続きをスムーズにする意味でも極めて重要となります。
専門家を味方につけて確実に節税を成功させる方法
自己流の限界と税務調査のリスクを知る
本やネットの情報だけで行う「自己流の節税」には、多くの落とし穴があります。
せっかく生前贈与を頑張ってもやり方次第では、数年後の税務調査で「名義預金」などとして否認され、その預金についても相続税で課税されるケースは珍しくありません。
また、特例の適用要件は複雑で、1つの見落としが命取りになります。
確実な安心を手に入れ、かつ最大限の節税効果を引き出すためには、事前のシミュレーション段階からプロの目を頼るべきです。
相続税に強い税理士の見極め方と相談のタイミング
税理士なら誰でも相続税に詳しいわけではありません。
普段は会社の会計を専門としている税理士も多く、依頼する際には、必ず「相続税の申告実績」が豊富な税理士を選んでください。
親が元気なうちに一度、親子揃って税理士に相談するのもおすすめです。
やり取りしていく中で、税理士の人柄なども見えてきますので、事前の段階から「合う、合わない」の判断ができますので、相続開始後に「焦って税理士を探す」といったことがなくなると思います。
節税は時間を味方につけることが必要で、相談及び対策は早ければ早いほどその効果は確実に出ます。家族の大切な資産を守る一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※相続税に関する税理士の選び方については別記事「相続税申告はどの税理士に依頼しても同じ?失敗しない税理士選びのポイント」を参照としてください。
※ この記事は公開日現在の法令に基づいて作成されています。

