こんにちは、つるかめ相続税理士事務所の平岡です。
今回は、相続税の基礎控除額について解説します。
相続税がかかるかどうかの判定には基礎控除額の計算は必要不可欠となります。算定上の法定相続人に養子の数が制限されるなど、特別なルールがありますので、それらを含めてしっかりと理解しておきましょう。
【この記事のポイント】
■基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」で求める
■法定相続人となる養子の数には制限がある
■相続を放棄をした相続人も法定相続人の数にカウントできる
基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」で求める
基礎控除額=3,000万円+法定相続人の数×600万円
【参考:法定相続人の数と基礎控除額】
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
0人 | 3,000万円 |
1人 | 3,000万円+1人×600万円=3,600万円 |
2人 | 3,000万円+2人×600万円=4,200万円 |
3人 | 3,000万円+3人×600万円=4,800万円 |
4人 | 3,000万円+4人×600万円=5,400万円 |
5人 | 3,000万円+5人×600万円=6,000万円 |
6人 | 3,000万円+6人×600万円=6,600万円 |
7人 | 3,000万円+7人×600万円=7,200万円 |
8人 | 3,000万円+8人×600万円=7,800万円 |
【具体例】
先日、父が亡くなりました。
家族構成は、父、母、私、妹の4人家族でした。基礎控除はいくらになりますか?
(回答)
法定相続人は、お母様、あなた、あなたの妹の3人になります。
したがって、3,000万円+3人×600万円=4,800万円となります。
※ 法定相続人については、「法定相続人とは(リンク)」を参照してください。
【参考】
平成27年に相続税法の改正が行われ、上記のとおり基礎控除額を計算することとなりました。それ以前の基礎控除額は「5,000万円+法定相続人の数×1,000万円」で計算されていました。
改正前に書かれた本や更新されていないWebサイトなどには「5,000万円+法定相続人の数×1,000万円」(改正前の基礎控除額の計算)と記載されているものもありますので注意が必要です。
法定相続人となる養子の数には制限がある
被相続人が養子縁組を行っていた場合、その養子は相続人としての身分を持つことになりますので基礎控除額の算定上の法定相続人に含まれます。
しかし、無制限に養子の数を増やせば、基礎控除額が多くなるかというとそういうわけではありません。カウントできる養子の数は決められています。
【カウントできる養子の数】
① 被相続人に実子がいる場合 ⇒法定相続人となる養子の数は1人まで
➁ 被相続人に実子がいない場合 ⇒法定相続人となる養子の数は2人まで
【例1:養子縁組している場合(養子の数が1人)】
先日、父が亡くなりました。
家族構成は、父、母、私、私の妻(父と養子縁組をしている)、妹の5人家族でした。
また、私の妻は父と養子縁組をしています。基礎控除はいくらになりますか?
(回答)
法定相続人は、お母様、あなた、あなたの奥様、あなたの妹の4人になります。
お父様と養子縁組したあなたの奥様も相続人に含まれるというのがポイントです。
したがって、3,000万円+4人×600万円=5,400万円となります。
【例2:養子縁組している場合(養子の数が2人)】
先日、父が亡くなりました。
家族構成は、父、母、私、私の妻(父と養子縁組をしている)、妹、妹の夫(父と養子縁組をしている)でした。
また、私の妻は父と養子縁組をしています。基礎控除はいくらになりますか?
(回答)
法定相続人は、お母様、あなた、あなたの奥様、あなたの妹、妹の旦那さまの5人になります。
お父様と養子縁組したあなたの奥様や妹の旦那さまも法定相続人に含まれるというのがポイントです。
亡くなったお父様には実子(あなたと妹さん)がいますので、基礎控除額を算定上の法定相続人としてカウントできるのは1人までとなっています。
したがって、法定相続人は5人いらっしゃいますが、基礎控除額の算定上の法定相続人は4人となりますので、3,000万円+4人×600万円=5,400万円となります。
相続放棄をした相続人も法定相続人の数にカウントする
相続人が相続放棄をした場合、民法上は相続人になりませんので、その相続人は亡くなった人の財産は引き継ぐことはできません。
しかし、相続税の基礎控除を計算する上では、相続放棄をした人も相続人としてカウントされるルールとなっています。
【例:相続人に相続放棄があった場合】
先日、父が亡くなりました。
家族構成は、父、母、私、妹の4人家族です。
なお、私の妹は相続を放棄しています。
基礎控除はいくらになりますか?
(答)
この場合、法定相続人は、お母様、あなたの2人になります。
しかし、注意すべきなのは相続税の基礎控除を計算する上で、相続を放棄した妹さんも相続人としてカウントしますので、相続人を3人として計算します。
したがって、3,000万円+3人×600万円=5,400万円となります。
※ この記事は公開日現在の法令に基づいて作成されています。