【相続税】相続税申告は自分でできる?税理士に依頼すべきケースとの違いを解説

はじめに

こんにちは、つるかめ相続税理士事務所の平岡です。

相続税申告が必要になったとき、「税理士に依頼すべきか、それとも自分で申告できるのか」と悩む方は少なくありません。実際には、相続財産の内容や相続人の状況によって、自分で対応できるケースもあれば、専門家へ依頼した方がよいケースもあります。

不動産の評価などの誤り特例の適用誤りは、納め過ぎや税務調査、ひいては追徴課税につながる可能性もあるため、慎重な判断が必要となります。

本記事では、自分で相続税申告を行えるケースや税理士へ依頼すべきケース、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。

【この記事のポイント】
■ 自分で相続税申告をするかどうかの判断基準は「財産の種類と複雑さ」
■ 自分で申告すればコスト削減になるが、財産評価誤りや申告漏れによる税務調査リスクと労力が伴う
■ 節税特例の適用には正確な専門知識が必要
■ 過去の贈与(生前贈与)や申告期限への注意が必要
■ 費用面だけで考えるのではなく「相続税専門」の税理士を選ぶメリットはそれ以上に大きい

相続税申告は自分でできる?

相続税申告を自分で行えるケース

相続税申告は、すべてのケースで税理士へ依頼しなければならないわけではありません。例えば、相続財産が預貯金や上場株式のみで評価が比較的容易な場合には、自分で申告できるケースもあります。

また、国税庁が公表している申告書様式や財産評価の手引きを利用しながら作成することも可能です。

ただし、申告に必要な書類の収集や土地などの財産評価には一定の時間と知識が求められるため、十分な準備と時間が必要となります。

自分で申告する際の注意点

相続税申告では、財産を正確に把握することが何より重要です。

相続税の課税対象となる財産は、被相続人が相続開始の時において有していた土地、家屋、立木、 事業(農業)用財産、有価証券、家庭用財産、貴金属、宝石、書画骨とう、預貯金、現金などの金銭に見積もることができる全ての財産をいいます。

そのため、日本国内に所在するこれらの財産はもちろん、日本国外に所在するこれらの財産も相続税の課税の対象となります。

また、特に注意したいのが、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、相続開始前7年以内(現在は3年)にその被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産(以下「相続開始前7年(3年)以内の贈与財産」といいます。)の価額(相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額)は、相続税の課税価格に加算され相続税がかかります。

申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内であるため、早めに準備を進めることが大切です。

自分で相続税申告をするメリット・デメリット

自分で申告するメリット

最大のメリットは、税理士報酬を抑えられることです。

相続税申告の報酬は相続財産の額によって変わりますが、その財産の額によっては、100万円を超えることも珍しくありません。

自分で申告すればその費用を節約できます。また、自ら財産を整理することで、相続財産の内容や評価方法を深く理解できる点もメリットです。

今後の資産管理や相続対策にも役立つ知識も身につけることができると思います。

自分で申告するデメリット

一方で、相続税申告には高度な専門知識が必要です。特に土地の評価や非上場株式の評価、小規模宅地等の特例など各種特例の適用判断は非常に複雑です。

財産の評価誤りや申告漏れがあると、後日税務調査で指摘され、追徴税額に加えて加算税や延滞税のペナルティまで課される可能性があります。 また、書類収集や申告書作成には多くの時間を要するため、お仕事をされている方は本業や日常生活への負担も小さくありません。

税理士へ依頼した方がよいケース

不動産や事業資産がある場合

相続財産に土地や貸家、アパート、私道、農地などが含まれる場合は、税理士への依頼を検討した方が安心です。不動産の評価額は相続税額に大きく影響し、評価方法によって税額が大きく変わることがあります。また、個人事業や会社の株式を相続するケースでは、財産評価がさらに複雑になります。専門家による適切な評価が節税にもつながります。

特例や控除を利用する場合

相続税には、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などは、適用できれば相続税を大幅に減らせる「特例」がありますが、適用要件は非常に細かく定められています。

自分で申告した場合、書類の提出漏れや特例を適用して申告したにも関わらず、そもそも要件を満たしていない、又は勘違いなどによって適用できなくなるケースも多々あります。特例の適用により相続税額に大きく影響する場合は、税理士へ依頼した方が結果的に有利になることが少なくありません。

自分で申告するか税理士へ依頼するかの判断基準

自分で申告できる可能性が高いケース

以下の条件がほぼすべて当てはまる場合、ご自身で手続きを進めるハードルは低めです。

・ 財産の内容が極めてシンプル(主な資産が預貯金・上場株式のみ)

・  不動産(土地)がない、あるいは評価の容易な自宅1軒のみ

・  相続人が1人、または家族間で完全に話し合いがまとまっている

・  小規模宅地等の特例などの複雑な節税特例を使わなくても納税額に納得感がある

  •  平日の日中に役所や銀行・税務署へ行く時間的余裕がある

税理士へ依頼したほうが安心・得になるケース

以下のうち1つでもあてはまる場合は、専門家に依頼することをおすすめします。

  • 土地や建物の不動産が含まれる(形状が不整形、路線価の補正計算が必要など)
  • 非上場株式(自社株)や事業用資産、海外資産がある
  • 「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」を適用して節税したい
  • 被相続人から過去に多くの贈与を行っていたり、名義預金の指摘を受けそうな資産がある
  • 相続人が複数おり、分割割合や感情面での調整が難しい
  • 税務調査のリスク(追徴課税・加算税)を極力避けたい

まとめ|迷ったら専門家への相談も検討しよう

費用だけで判断しないことが重要

税理士へ依頼すると報酬はかかりますが、適切な財産評価や特例の活用によって、結果的に税負担を軽減できるケースも少なくありません。

また、申告ミスによる追徴課税や修正申告のリスクも軽減できます。「費用がかかるから依頼しない」という判断ではなく、相続財産の内容や申告の難易度を踏まえて、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

税理士に依頼する場合でも「相続税専門」の税理士を選ぶ

相続税の専門税理士に依頼する最大のメリットは、「確実な節税」と「税務調査リスクの最小化」です。

  1. 土地評価の最適化と特例活用: 現地調査等で土地の減額要素を洗い出し、小規模宅地等の特例(最大80%減額)などを正確に適用して納付額を最小化します。
  2. 税務調査対策: 名義預金や過去の資金移動を事前に精査し、「書面添付制度」を活用することで調査対象に選ばれる確率を大きく下げます。
  3. 二次相続を見据えた提案: 今回の相続(一次)だけでなく、将来の配偶者の相続(二次)まで含めたトータルで最も税負担が軽くなる遺産分割をシミュレーションします。

経験豊富な専門家に任せることで、手間削減に加え手残りを増やせます。

※相続税に関する税理士の選び方については別記事「相続税申告はどの税理士に依頼しても同じ?失敗しない税理士選びのポイント」を参照としてください。

※ この記事は公開日現在の法令に基づいて作成されています。

この記事を書いた人

tsurukame