【不動産所得】今からできる!2分で読める不動産オーナーの節税術

【この記事のポイント】
■今からできる毎年の所得税の節税対策を行う
■青色申告特別控除(最大65万円)を最大限活用する
■配偶者や親族に給与を支払い、「青色事業専従者給与」として経費に算入する
■不動産所得が赤字となった年度は給与所得などと相殺する
■小規模企業共済に加入する

■不動産の収入が多くなった際には、不動産の法人化を検討する

1 はじめに

不動産を所有していると毎年の所得税だけでなく、将来的に相続税が発生することも考えられますので、相続税の負担までを見据えた節税対策というのが必要となってきます。

ただし、まず行うべきは毎年の所得税対策をしっかりと行い、財産を形成することです。そのうえで、相続税対策があると私は考えています。

今回は、不動産オーナーの方が毎年の所得税の節税対策としてどのような方法があるかについて紹介します。

2 青色申告特別控除の活用

アパート・賃貸マンンション経営において、「青色申告」は節税の基本となります。

青色申告は、収入金額や必要経費に関する日々の取引状況を記録した複式簿記の帳簿に記帳し、その帳簿に基づいて正しい申告をすることで不動産所得から最大65万円が控除されたり、家族の給与を経費扱いにできたりといった多くのメリットを受けられる制度です。

例えば、不動産が夫婦で半分ずつの「共有名義」の場合は、夫婦ともに65万円の控除を受けることができますので、節税のことだけで考えれば、親と一人っ子の子供など将来の相続人が確定しているケースにおいては、あえて共有にして2人で各65万円(合計130万円)の控除を受けるのもいいかもしれません。

【不動産所得の申告を税理士に依頼すべきか?】
青色申告者となり65万円控除が適用できると、その65万円に所得税の税率と住民税の税率を掛けた分だけ節税できることになります。
例えば、所得税の限界税率が33%であった場合、住民税10%と合わせると税率が43%となりますので、青色申告特別控除額の65万円に43%を乗じた279,500円の節税が可能となります。
ここで、仮に税理士費用が20万円とした場合でも、税理士費用は必要経費となりますので、20万円が経費に算入され、それについては所得税がかからないため、実質的な負担は114,000円(200,000円-86,000円(200,000円×43%))となります。
よって、青色申告による節税額と税理士費用を比較すると
 節税額279,500円 > 税理士費用114,000円
となり、ご自身で手間暇かけて確定申告するよりも、税理士に依頼して青色申告した方が節税メリットは大きくなります。
さらに、税理士による申告は、提出した申告書の信頼性も格段にアップするため、税理士に依頼する価値は十分にあると考えます。

3 青色事業専従者給与による節税

青色事業専従者給与とは、事業的規模の不動産オーナーさんが、その事業を手伝っている親族(一定の要件があります。)に支払う給与をいいます。

基本的には、事業主(不動産オーナーを含む)の方が、配偶者などの親族に給与を支払った場合、その給与は必要経費には出来ません。

しかし、事業的規模の青色申告者の場合で、オーナーの方の賃貸業にもっぱら従事している配偶者や親族がいる場合には、青色事業専従者給与として必要経費に計上することができます。

つまり、親族内で所得の分配が可能となります。

4 サラリーマンの給与と相殺して節税

アパート・マンション経営を始めた初年度は経費(仲介手数料、不動産取得税、登記費用、減価償却費など)が多くかかるため、収支が赤字になることがあります。

このように、不動産所得で赤字となった場合には、他の所得と相殺できますので、例えば会社員のオーナーの方であれば、会社からの給料(給与所得)と不動産所得の赤字を相殺すれば、トータルの所得が減り、確定申告をすることによって給料から引かれている源泉所得税の還付を受けることができます。

5 小規模企業共済に加入

小規模企業共済は、国が作った個人事業主や会社役員の退職金制度です。

掛金は月額1,000円から70,000円まで(500円単位)自由に設定でき、その支払った掛金は所得控除の対象となり、全額経費扱いになります。

つまり、所得税や住民税の計算のベースとなる「所得金額」を減らすことができるため、節税につながります。

また、掛金の支払時だけではなく、将来受け取る「共済金」についても、一括で受け取る場合は「退職所得」となり、分割で受け取る場合には「公的年金等の雑所得」となり、いずれも控除額が大きく設定されておりますので、受け取った際にも節税効果が得られます。

※ 一定の個人事業主と法人の役員が対象なので、サラリーマンの不動産投資家は加入できません。

6 不動産の法人化を検討する

個人で不動産賃貸業を営んでいる場合に、発生する家賃収入は「不動産所得」に該当し、原則として確定申告をする必要があります。

しかし、日本では個人の所得税と住民税を合わせた最高税率は55%と増税傾向にありますので、賃貸の規模が大きくなり、収入が増えて税率が上がってくると、税金の負担も大きくなります。

一方、法人税は国際的な観点から減税傾向にありますので、収入が増えた場合には、法人化して法人税を納めた方が税金上有利(節税)になる場合があります。

不動産の法人化とは、具体的には個人が所有している賃貸アパートを、ご自身(又は相続人)が設立した法人に売却して、賃貸収入の申告をその法人で行うというものです。

つまり、アパート等の収入を所得税ではなく法人税で申告することになります。

また、法人化した場合には、不動産賃料による所得を家族間に分散させたり、認められる経費が大きいことからさらなる節税ができる場合があります。

不動産の法人化については「法人化のメリット・デメリット」で詳しく解説しておりますのでそちらのページをご覧ください。

7 まとめ

不動産オーナーの方が今からできる節税対策について青色申告を中心に紹介しました。

賃貸用の不動産を持っている方の節税に対する考え方としては、不動産所得そのものを少なくして節税することです。

それには、青色申告のメリットを十分に享受しながら、収益に対応する経費を漏れなく計上する必要があります。

こうした、地道な繰り返しによって、資産の蓄積が可能となります。

資産の蓄積の後には相続税対策が待っています。

当事務所は、相続・不動産に強い税理士事務所であり、生前対策を得意としております。

ぜひご相談ください。